ビジネスの寿命

米国では、スタートアップビジネスの8割が、創業後3年以内に姿を消すと言われる。(*1)

新しいビジネスの大半が短命に終わり、ほんの一握りのビジネスだけが長期にわたり生き残りうることになる。しかし、短期間で消滅するビジネスの全てが失敗しているわけではない。

たとえば、ネットスケープ社は、1994年に創業、翌年に上場した。そして、1999年にアメリカオンライン社に買収、吸収された。

ネットスケープ社は、創業からわずか4年で消滅したことになる。しかし、その短期間内に、急成長を遂げ、上場も実現した。短命のビジネスが失敗とはかぎらないことを示す一例だ。

ところで、ダニエル•ピンクはその著書『Free Agent Nation』の中で、ネットスケープ社について興味深い指摘をしている。

「(短命のネットスケープ社は)会社だったのか、それともプロジェクトだったのか。それよりも重要なことは、同社がマイクロソフト社のような確立された企業に戦略の変更を迫り、数千人の人(従業員)に経験と富、そして次のプロジェクトにつながる人的つながりをもたらしたことである。」(*2)

吸収合併後、ネットスケープ社の社員の多くは新しいビジネスに踏み出した。シリコンバレーは、大企業からスピンオフしたビジネスや人々が離合集散を繰り返すことによって、起業家やハイテクの街として発展したことが知られている。ネットスケープ社にも同様のことが言える。

アイデアをもった人々が、会社の枠を超えて動き回り、そこから次々と新たなビジネスが誕生しては、短期間で消えていく。こうした流動性の高い環境が、シリコンバレーの動的なエコシステムを可能にしている。

そうした環境下では、ビジネスは、「会社」という固定した組織よりも、アドホックな協業にもとづく「プロジェクト」に近いだろう。そして、「プロジェクト」であれば、そうしたビジネスの寿命は、本来的に限定的であるはずだ。

ビジネスの寿命が短くなっているのは、ビジネスの柔軟性を支える条件が整ってきていることにもよるのではないだろうか。

(*1) ビジネスの生存率については各種統計があり (たとえばUS Small Business Administrationによる統計など)、その数字は異なる 。「8割が3年以内に消滅」というのは、世間でよく耳にする表現。
(*2) 文章中の『Free Agent Nation』に関する記述は、英語版をもとにした筆者の抄訳。

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